注:自分は左翼とかじゃないのであしからず あとところどころ情報が間違っている可能性もあるけどあしからず 


今年九月始めに行われた衆院選で、小泉首相率いる自民党が歴史的大勝を収めたのは記憶に新しい。

これは主に国民が、官から民へという構造改革を提唱する小泉首相の政策方針を指示するという民意を、はっきり表わした結果といえるだろう。

しかしこのとき最も留意すべき点がある。

それは国民が賛成したのは小泉政権の郵政民営化のような税金の無駄遣いを減らそうとする姿勢であり、日本昔さながらの軍国主義に変えようとする姿勢ではないという事だ。

そう、自分達が郵政民営化やら年金改革やらなんやらに目を奪われている間にも、着々と そしてこっそりと姑息に政府は有事(日本に何か大変なことが起きる事態)に関する様々な法案を成立させているのだ。

今回の総選挙の結果から、小泉政権はより一層日本の歴史を遡る様な方針を強める事となるだろう。


まずは有事法制のこれまでの一連の流れと有事法の中身を軽く紹介しておく。

有事法制は以前から必要とみなされ研究され続けていたが、実際に成立のきっかけとなったのがイラク問題である。イラク問題をきっかけに憲法9条から解釈される自衛隊の定義がゆがめられ、テロ特措法やイラク特措法、周辺事態法や有事3法が次々と矢継ぎ早に制定されていく事になった。

この結果、今まで憲法の解釈上、実際本土が受けた攻撃に対する防衛手段の時にのみやむをえなく武力行使を認めるとされていたが、武力行使の可能性を「攻撃が予測される事態」までに広げられ、同時に自衛隊は軍隊として事実上世界各地の戦場に派兵させる事が出来るようになった。

一方この時、具体的な構想をそっちのけにされていたのが国民保護法である。戦争にはルールがあり、戦争中でも国家間の戦いに関係の無い国民が巻き込まれないよう配慮しなければならないとされ、これは国際人道法の定める内容でもある。なんにせよまずこの国民の財産や生命を保証する事が、有事に関する法の中で一番最初に考えられなければいけないのだ。本当は。

そして問題の国民保護法は2004年6月14日 有事7法の一つとして成立する事になる。

国民保護法はそのまま文字から見ればなんとなく、守ってくれる良い法案なんだぁ、と思ってしまいがちだが実際の内容はまったくの別物だ。この法案は、有事のみでなく平時(普段の日常)にも攻撃される事態に備えておこう、というものである。だからもちろん平和ボケしていた日本国民には今まで考えられないような避難訓練なども、すでに今年中には始められる事も決まっている。また国民保護法には、有事において国に協力しない国民・法人は罰金や懲役等で罰する事も盛り込まれている。まさにその内容は国民統制令であり、W大戦時の日本に逆戻りしていると捉える事が出来てしまう。その事は6月14日成立となった国民保護法以外の有事法制でも窺える。米軍や自衛隊が有事において円滑に行動できるように、道路や港、一部公共機関では電波までもが米軍と自衛隊の意のままに使用されてしまう事等が盛り込まれているのだから。


国民保護法を含む有事7法はすでに成立してしまったので、今更騒いでも仕方が無い。

これからは、各自治体が現在まとめている国民保護計画が、人権もきちんと擁護するような内容になることに注目していかなければならない。

実は今 最も憂慮しなければならないのは『共謀罪』という新たな段階である。

共謀罪とは、ある組織間で政府に認定される当該行為の実行を図った場合、実行者だけでなくその相談者や共謀者も処罰されるとい罰則である。

問題なのはこの共謀罪が刑法に組み込まれるとなると、戦後の反省から今まで守られてきた言論・結社・集会の自由が政府の裁量によって規制されてしまう可能性がある事につながるのだ。悪法と呼ばれる治安維持法の二の舞である。

もっとも政府はこの共謀罪の目的は、国際的組織犯罪の抑止の為だと主張しているが 名目上。

本当は衆院解散により廃案となったが、小泉首相率いる自公政権が確立した事により、ふたたび共謀罪を成立させようと政府が動き出している。


上にあげたのは最も基本的な出来事だが、他に憂慮すべき事態として、平和憲法9条をいじくる憲法改正の動きや、教育基本法改正に伴い教科書から自虐的な言葉を減らし国家斉唱を義務付け愛国心と敵対心を煽る動き、政教分離の原則を緩和しようとする動き(これは公明党の例のアレがからんでいるのか!?)、などたくさんあるのが現状だ。

このような動きを素人目から見ると、有事の備えを理由に軍国主義化していこうと政府が目論んでいるようにしか思えない。

シビリアンコントロールによって勝手に身動きが取れないようにされていた軍部の足かせが、徐々に外されていく。国民も有事に向けて日々訓練され、教育方針に盛り込まれることが決定している「国を大切にする(=愛する)心」の育成をもとに愛国主義化してゆき、有事の際には、あらかじめ周到に用意され、成立させた数々の法案を都合の良いように解釈し国民を統制していくのだ。予想。


一番いけないのが、日本政府が米国にとことん弱くなんでも後ろを追随してしまうところだろう。

有事法制関連や武器禁輸緩和、憲法改正に至るまで全部米国に圧迫されて実行されている。
その結果、日本は米国の意見を重視し、自分の国民をないがしろにし、姑息な解釈方法を使って国民を騙そうとまでしているのだ。

例えば、世論調査によりイラク派兵に反対している国民が過半数を占めている事が判っても、政府は昨年イラク派兵の延長を決定し、今年もイラク派兵を延長が決定している。

民主主義国家のはずだが民意が反映されていないのはどういう事だろうか。

なによりもまず日本政府は自国民の事を第一に考えて行動しなければならないはずだ。

国家は米国の都合の良いように動かされる事が無いようにきちんと独自の立場を見据えるべきである。

そして国民は、政府が国会に通そうとする立案の一つ一つに曖昧な表現がないか目を配り、間違った方向へ進むことが無いよう注意を払っていかなければならない。

(個人的には、政府が打ち出す法案自体は賛成できるものもあるが-自衛権を認める憲法改正など-、成立した後の政府の都合の良い解釈の仕方が問題なのだ)